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アレッ人図鑑

新たな価値を追求しつつ、本来のお坊さんの在り方を体現する ー 井上広法さん

 

「áretのオーナー 光林寺住職-井上広法さん」

 

第1章:áretに来るまで

 

「震災が無ければ、今はない」

初めはお坊さんになろうと思っていなかった広法さん。

祖父の死、仏教の学び、挫折の経験、臨床心理学を学んだ経験、そして3.11—。

これらの経験から、彼の人生は大きく動かされることとなる。

「原発震災も重なり日本全体がおかしくなった」

自分の子供を通わせようと思っていた母校も廃校となった。

「悔しい」

その時広法さんに押し寄せる様に沸き起こった感情は悔しさだった。

「現代人に合うように仏教の心を伝える活動をするべき」

そう考え、お坊さんに人生相談を無料でできる『hasunoha』というITサービスや、『ぶっちゃけ寺』というテレビ番組の企画からオペレーションを担当し、時代に合わせた仏教の伝え方に注力した。

それなりのインパクトをもって仏教の心を届けることができたと思うと同時に、一方では「地域に根付いていない」という考えが芽生えた。

その後、月一でラジオ体操を実施するなどの経験を経て、場づくりについて模索の最中にとちぎユースサポーターズネットワーク代表理事の俊宗さんと出会うこととなる。

岩井さんとの出会いは、広法さんが最も「失敗」したと考えていた講演会。

講演会のテーマは、「不確実、不安定、複雑、曖昧。そんな時代に何ができるか」。

お坊さんの格好で先進的な取組や考えを披露する広法さんのギャップに周囲が静まる中、俊宗さんだけはきらきらと目を輝かせて称賛した。

 

その講演会をきっかけに岩井さんと意気投合した広法さんは、二人三脚でáretのプロジェクトをすすめることとなる。

 

第2章:áretに来てから

 

「áretはいままで孤独だった人がつながれる場所。一人一人が想いを持っていてくれたらいい」

 

空き家問題やアーケードの閑散など栃木県には多くの課題が残されているが、探せば面白いイノベーションを起こせるような人材がたくさんいる。

しかし、そういう人たちが集える場がないと考える広法さんは、場を設けることで孤独なプレイヤーである「弧ワーカー」をつなげ「コワーカー」に変えていきたいと考えている。

広法さんは、áretを三つの要素に分解できるという。

「áretのáにあたる建築のアーキテクチャー、áretのreにあたるつながりのリレイションシップ、áretのtにあたる生き方を学ぶ倫理・哲学のエシック。これらの要素が複合的に混じりあって、áretという空間を創り出している」

光林寺で住職を務める広法さんは、光林寺のコンセプトを「ひとづくり、縁づくり、まちづくり」としている。

「人ができ、縁ができ、自然とまちの風景が創られる。áretは人と人とのつながりをつくり出す、縁づくりに貢献する場所」

áretでは働く人だけでなく高校生や大学生も集う場所であり、そこにいるプレイヤーの一人一人に位置づけや意味がある。

身の周りをきれいにできなければ「生き方」について深く考えられないと捉える広法さんは、áretを安心・安全・居心地のいい場所にしたいと考えている。

 

日々、つなげるプレイヤーがひとりひとり活躍できるように。

 

第3章:áretから見る未来

 

「ちょっとした刺激でも混乱しやすい不安定な時代。これからの未来は誰にも分からない」

これからは「人間の在り方が見直される」時代である。

かつてのお寺の存在は、「寺子屋」と呼ばれ学校代わりに使われたり、苦しい日々の悩み相談にのることもあったりと、地域における教育や福祉、文化の拠点としての役割を担っていた。

áretは、反対から読むとtera。そんなかつてのお寺の機能を残しつつも、お寺の概念を現代版にひっくり返し、生き方を一緒に模索できる場所という意味を込めて造られた。

仏の教えを聞き学び、それによって人々の心が安らぎ救われるという、本来のお寺の役割が失われつつある流動的でセンシティブな現代において、「答えのない時代に、常に答えを探しながら働ける場所」であるáretの存在意義や価値が生まれる。

広法さんは、自分たちの人生を自分たちの足で歩んでいけることに加えて、未来に価値を与えることができる人材である「生ききれる」人たちをáretから生み出したいと思っている。

 

「大きな変化の中でも生きていける。そんな人をáretが生み出す場所にしたい」

 

 

広法さん、ありがとうございました!お寺の副住職さんとして活動しながらも時代に沿った先進的な取り組みや柔軟な考え方で物事を捉えていて、瞳に映る色が新鮮でお話を聞いていてとてもわくわくしました。様々な人生に絡む出来事全てが色濃いもので、それら全てが重なって今の広法さんを築き上げているんだなあと感じました。広法さんが抱いている想いを受け、áretという場所を活かせるように全力で頑張りたいと改めて思いました!(取材・カメラ・編集:まい)